「ひとのこと」に思いを馳せる (blog by HR professional)

日系、外資系企業で人事 (Human Resources) のプロフェッショナルとして「ひとごと」に向き合い、人の感情を受け止め、人の成長に感動してきました。その視点を通して、人と組織の成長に思いを馳せる「ひとごと」のごった煮ブログ。二児のパパでイクメン5級の修行中。

グローバル企業の組織的トレンド ー 地域統括機能(リージョン化)その1 - Regional Function vol.1

この数年でグローバル企業の多くが、ガバナンスの仕組みに地域統括管理機能、いわゆるリージョン機能を急速に導入してきた。その統括単位は、北米・南米を合わせたアメリカ圏、ヨーロッパと中東アジアそしてアフリカおよびインドまで含めたEMEA、それにアジアパシフィックという分け方が一般的。日本はその企業でのプレゼンスの高さによって、位置付けがグローバル本社の直轄になるかアジアパシフィック地域の一部としての位置付けになるか異なるようである。

 

その意味するところを本社の視点とローカルの視点から考えてみる。

 

全社視点で見るとその目的は、地域単位でのオペレーションの効率化とリソース(戦略、仕組み、ファンド、人材など)の共有を通じてビジネス成長と収益拡大を実現することに集約される。

ただし、それぞれの機能で達成すべき目標と戦略は様々だ。例えばファイナンスは、シェアードサービスの実現と予実管理プロセスの強化だったり、サプライチェーンであれば効率的かつリードタイムの短い流通ネットワークの構築、マーケティングであればアジアで共通の製品開発や統一的なブランディングを志向した店舗開発のプランニングなどがそれにあたる。人事で言えば、給与プロセスのシェアードサービス化やアジア地域で人材活用の促進、そのための制度の整備およびプロセスの標準化などが最近の主な戦略的なフォーカスというケースが多い。

 

 本社にとって実務的に意味するところは、例えば数十から100カ国以上でビジネスを展開している場合、それだけの数のコミュニケーションルートが今まで必要だったが、地域統括機能ができたことで、3つから4つの地域統括担当とのコミュニケーションで対応が可能となってきた。1点目のポイントはコミュニケーションの効率化である。

結果、地域間の時間差による非効率がある程度解消されるのが2つ目のポイントとなる。普段は担当地域に常駐し、定期的に本社に来て報告してもらう形で対応が可能となる。今までは、ある共通の取組みを推進する上で100の地域に伝えていくとなると、時間差と数を考慮して一定期間をかけて数回の電話会議をする必要があった。それが例えばアジアパシフィック地域全体で本社と連絡を取る担当者を軸に進めてもらうことで、ローカルへのコミュニケーションを時間差なく行うことができる。各国の担当者から12時間の時間差があるアメリカの本社に相談する場合、返事が戻ってくるのは、自分たちが業務を終了して寝ているときだったりするのが通常だ。

それが同じ地域の中で担当者が決まっていれば、時間差が圧倒的に小さいから各国のローカル担当者と地域統括担当者との間で業務時間中に確認が済む。上手く機能すれば、施策の実行スピードが上がる。これが3つ目のポイントである。

 

ではそれぞれの国(ローカルのオフィス)から見ると、この組織的変化によって何が変わるのだろうか?プロセス上の変化と求められる人材の示唆について、次のブログで述べたいと思います。