「ひとのこと」に思いを馳せる (blog by HR professional)

日系、外資系企業で人事 (Human Resources) のプロフェッショナルとして「ひとごと」に向き合い、人の感情を受け止め、人の成長に感動してきました。その視点を通して、人と組織の成長に思いを馳せる「ひとごと」のごった煮ブログ。二児のパパでイクメン5級の修行中。

子どものダンスを見て思うこと Insight from kids dance

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僕の子供たちが地元でダンスを教えてもらっている。先生は1人で、近くのスタジオで毎週決まった時間に1時間のレッスンを子供たちは楽しんで通っている。

 

先生は色んなジャンルで上手いだけでなく、子供達を型にはめすぎず、自由な表現を尊重してくれるところが、自分の価値観に合致しているから安心して任せている。そこに「〇〇しなきゃいけない」という義務や強制の文脈はなく、「やりたい人たちで情熱的にやろうよ」というやる気と自主性の発揮がそこに参加している子供たちの行動の根源に根ざす環境がある。

 

子ども達はイベントやお祭りで日頃の成果を家族や友達に披露するのだけど、中には色々なキッズダンススクールが集まって、数時間掛けて披露するものもあるから、付き合う親もなかなか根気がいる。

 

先日、その中で興味深い発見があった。多くのダンススクールの子たちのダンスにはほぼ全てルーチンの振りが決められているのだが、型をやる事に気持ちが向いて、楽しそうに見えない。中には子供たちが楽しそうな表情を見せるチームもあるが、圧倒的に少数である。

それも親のニーズとしてあるだろうから、良い悪いではないのだが、せっかくの自己表現のチャンスにもったいないなあ、と自分は残念に感じた。

 

対照的に際立ったのは自分の子どもが入っているダンススクールの自由さ。どんなに小さい子たちでも必ず一部がフリーダンスのパートがあって、圧倒的なエネルギーに満ち溢れている。表情が違う。親バカでひいき目に見てる事もあると思うので、割り引いて聞いてほしい。

 

更に興味深いのは先生が、クラスのレベルによって、振りの自由度を微妙に調節していることだった。小さい子達のひよこクラスはルーチン80% フリー20% に対して、次のレベルだと 60% 対 40%、一番踊れる子達のクラスは 40% 対 60% といった具合に、上達するにつれて、自由度を増やしている。

 

そこでふと思ったのは、組織の中での人材育成や活用に似てるな、ということ。

 

リーダーが部下と業務を進める時、ある程度できる業務については、自由に信頼して判断を任せ、自分は方向性と必要なコーチングに留めることが良しとされている。一方で熟練度が低い業務に対しては、具体的な指示や指導が必要だったりする。熟練度と意欲の状況によって接し方を変え、パフォーマンスを維持し高めていくリーダーシップスタイルを人材開発の世界では「Situational Leadership」 状況対応型リーダーシップ と呼ぶ。

http://www.blanchardinternational.jp/service_top.html

 

中身についてはまたの機会に後述したいと思うが、ここで上司としての肝は、状況の見極めである。未熟なのに任せ過ぎても体をなさないし、十分任せられるのに細かいところに首を突っ込むと、部下はモチベーションを損なう。要は適当なさじ加減で接することが必要なので、上司は部下に対して、大いなる関心を払っておくことが求められる。

 

結局、業務で成果を上げることだけに邁進し、人に注意を向けない上司は人材活用とチームマネジメントの点で限界がある。部下もそういう上司と長く働くのがしんどいのもうなずける。

 

程よいバランスが大事だなあと感じる。難度の見極めと自由裁量のデザインこそが、マネージャーの仕事の肝の一つである。

 

話しを子どもたちのダンスに戻すと、シンプルで覚えやすく、でもカッコいい振り。子ども自身がやる気になる環境と接し方でスキルと意欲を高め、そしてフリーダンスが最後にあってその世界に「入っている」キッズダンサー達のエネルギーの爆発に感動を覚えた。

 

ダンスの先生は極めて優れた   Situational Leadership の持ち主だなあ〜、と感銘しているこの頃である。